海老とフグを初めて食べた人類。

世の中にはたくさんのゲテモノ料理が存在するが、ぼくの大好きなとんかつを、「不浄の食べ物」という人がいたり、ビーフステーキを食べたら「神は死んだ」と言う人もいたり。(かもしれない) ゲテモノとはさまざまな食文化の違いであるから、良し悪しを語るつもりはない。


話題にしたいのは人間の食文化を作り出してきた天才たちだ。料理人ではない。僕はエビとフグを今食べていることを奇跡だと思う。まずはエビについて書いてみる。


僕はエビが大好きだ。少しプリッとしたエビに、絡まる甘辛いチリソース。僕は小学生の頃にエビチリスパゲティなるものを考案するほど、この二人が好きだった。(あんまり美味しくなかった)


「海老」。海の老人。漢字にするとまたエビの深みを感じる。海老は時を重ねて旨味を蓄えたのだ。擬人化したら恐らくキリストに似るだろう。優しくて、聡明。怒ることなく諭す、そんな老人の姿が目に浮かぶ。考えるほど尊い海老だが、問題は「あれを初めて見たとき食べたいと思うか」である。


「海老は美味しい」という概念が存在しない世界。海に入ると固くてハサミを持つゴツゴツの生物がいる。そう、海老は間違いなく食の対象ではない。強そうで怖い。伊勢海老なんて初めて見たら怪獣である。


「うわー、怖い。食べてみよ。」


「ドロドロじゃん!焼いてみよう。」


「うんまー!」テッテレー


ウルトラマンが怪獣を倒した直後に食べていたらサイコな大事件であるが、海老を倒した彼はそのあと食べたのだ。このクレイジーな出来事が「海老は美味しい」という概念を生む。



次はフグの話だ。現代で毒魚を食べることのできる背景にはフグに命を捧げた者たち死屍の山がある。



「魚見つけた!」→死

「俺も食おう!」→死

「お前らバカだな、生で食べたら死ぬに決まってんだろ。焼いて食おう!」→死

「皮剥げばいける。」→死

「気合が足りん」→死



肝に毒があることがわかったのは当分後のことだろうに、彼らは毒魚を食べることを諦めなかった。どうかしている。だがそんな彼らのおかげで現代で我々はプリプリのふぐ刺しを食べられるのだ。


馬鹿と天才は紙一重というが、たしかに歴史に残る人物は、音楽家も発明家も変人が多い。フグを食べて死んだ彼らも天才だった。キノコもホヤも貝もクラゲもシャコも、はじめて食べた人は変人であり、天才であった。彼らのエピソードを語るとき、僕の頭の中では中島みゆきの地上の星が鳴り響いている。


ところで、なぜこのブログを書く気になったかというと、銀座松屋で海の写真展を見たからで、この生物たちを食べようと思った人はすごいなと、写真家のメッセージとは異なる感想を持ったからである。この変なブログが世を動かすことはまず無い。




▶︎五十嵐紅-クラシックギター
東京音楽大学クラシックギター科卒業。第27回スペイン音楽ギターコンクール第2位、第29回ジュニアギターコンクール高校生の部1位、クラシカルギターコンクール、GLCギターコンクールなど様々なコンクールで入賞。東京音楽大学定期演奏会ソロ部門に出演。2013年日本ギター連盟主催「新進ギタリストの競演」など多くのコンサートに出演。クラシックギターを伊東福雄、江間常夫、荘村清志各氏に師事。スペイン歌曲伴奏法を服部洋一氏に師事。原宿での定期演奏会「水曜日のクラシック」主宰。50gt(five-o-gt)代表。HP:www.koh-guitar.com



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水曜日のクラシックin原宿
フルートとギター
9/13(水) 19:00-20:00(18:30open)

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